〜オープンレクチャー入門講座〜

第1講 色々な魔女と村の魔女
第2講 神と女神
第3講 輪廻転生
第4講 魔女の祝祭
第5講 祈りと魔法
第6講 大地の力
第7講 魔女とほうき
第8講 魔女の道具
第9講 ヒーリング・占い
第10講 カヴン・魔女団
第11講 魔女になる
第12講 Oriental Wicca

 

講義を始めるに当たって

 みなさん、こんにちは。
 これから12回にわたって現実にいる魔女になるために最低限必要なことを話していきたいと思っています。

 私の書くものというのは妙に硬くて読みにくい、もっと読みやすいものを、というご要望(文句?)はよく言われることなのですが、どうしても理屈の部分をきちんとしておきたい、とりあえず調べものをするために使えるようなきちんとしたものを最初に整えておきたい、ということでそういう傾向になってしまっています。

 ここでも入門講座は私ではない人に担当してもらったのでだいぶ読みやすくはなっていると思いますが、あれも下書きになる原稿は私が「いつもの調子」で書いたので、やはりそういう読みにくさはあったのではないかと思います。

と、いうことで、それならいっそ実際に講義をするときの調子で書いてみたらよいかな?と突然思い立って、今回はその形式で進めてみることにしました。この形式なら、と本を書くときと違って網羅性は大胆に犠牲にして、ポイントを絞って、という方針を立てまし た。

 内容はOriental WiccaとOriental Wiccaの元になっている伝統的クラフトの考え方をベースにしてありますが、一般的な話題なども必要に応じて触れていく予定です。

 さて、学習の進め方ですが、以下の手順で進めてください。

 

@まづ講義を読んでください。
 多少わからない言葉があっても、気にしないで読んでしまってください。

Aオンラインなのでそのままでも結構ですが、必要に応じて印刷してください。
 (なお、著作権は放棄していませんのでそれを他に無断で転載したりはしないでください

B次にわからない言葉があったら辞書を引きながら丁寧に読んでください。

C一通り理解できたら問題を解いてください。
 (その時に質問などはどんどん書いてください。数日いただくこともありますが、必づお答えします。)

 

 この手順を一応想定していますが、Aの印刷は書き込みをしたいときに便利かな、という程度ですので必づそうしてください、というわけではありません。ようは「わからない言葉はしっかり調べて読み進む」ということをお願いしたいと思います。ノートを作る、などもよいかもしれません。

 問題を解くときは、講義をしっかり読んでいただけば正解できるものにしてありますので落ち着いて答えてください。あと、書き込みをする欄がありますが、これは必づ書いてください。また、質問なども遠慮なく書き込んで送ってください。

 それでは最後までがんばってください。

 

第1講 色々な魔女と村の魔女

◆魔女という言葉◆

 第1回は魔女についてです。まぁ、魔女の講座なのですから当たり前といえば当たり前なのですが、この「魔女」という言葉、誰でもわかる言葉なだけに厄介なものでもあります。

 そもそも「魔女」という言葉は日本語にあった言葉ではありません。英語の「witch」が輸入されたときに当時の日本人がどう訳したらよいかを考えていたところ、キリスト教の魔女のイメージが醜い老婆だったり、男性を誘惑して道を誤らせる女性だということを知り、そういう女性は悪魔の関係者といわれているという話を元に「魔女」という言葉を作り出したわけです。

 ところがですね、そもそも「悪魔」という言葉や存在も「キリスト教が発明」したものなのです。キリスト教以外の神を否定して、全て邪悪な存在と決め付けて「全部悪魔」としたのです。つまり、

「キリスト教以外の宗教は全部悪魔の宗教」

と、決め付けたのです。めちゃくちゃですね(笑い

 ところで、キリスト教以前からある宗教というのは結構女性の地位が高いのです。女性司祭がいる宗教なんてざらですし、最高位の司祭が女性と決まっている、というものも結構あります。イメージとしては、そうですね…日本の邪馬台国の女王卑弥呼なんかも当時の宗教の最高位司祭なわけです。極端な言い方をしてしまいますと、「宗教の頂点は女性」となっていたものがほとんどといえるくらい多かった、わけです。統計取ったわけではないので、学者からは「このパーセンテージではほとんどとはいえない」とかそういう反論が出るかもしれませんが、イメージとしてはそんなに外れていないはずです。昔の宗教というのは基本的に女性上位なんですね。

 ところが、キリスト教というのは男性上位、というか男尊女卑と言ってもいい宗教なんです。現にカソリックなどは今でも法王は絶対男性というのは当然ですし、法王を決めるコンクラーベという秘密選挙も選挙に参加できるのは男性だけです。司祭になれるのも男性だけに限られています。たとえばノーベル平和賞を取ったマザーテレサも「女性だから司祭ではない」のです。

 さて、こうしたキリスト教が「異教の女性聖職者」や「伝統的な民間信仰をつかさどっている女性」を敵視したのは当然の成り行きです。そして「賢明な男性は簡単には悪魔に騙されないが、愚かな女性というものは簡単に悪魔の僕になる」と言う考えの下、

「悪魔に使える女性=魔女」

という考えが作り上げられたのです。ここまで来るとむちゃくちゃを通り越して笑い話にしかならないはずなのですが、キリスト教会は、このめちゃくちゃをさらに推し進めて、悪魔に仕える者や悪魔を信じる者(実際は異教の神や女神、そしてそれを信仰する人たち、なのですが)がキリスト教にならないなら全部殺してしまえ、という乱暴な話になっていったのです。これが魔女狩りです。魔女狩りに関しての細かい話は今回の講座では触れません。詳しく知りたい方は、『魔女狩り』 (森島 恒雄 著 岩波新書)などを読んでみてください。

 ともかく、日本に「witch」という言葉が輸入されたときに、同時に輸入されたイメージが、こうした「めちゃくちゃな魔女像」だったのです。もちろんキリスト教以外の宗教には男性の司祭もいましたが、そのイメージしか知らなかった当時の日本人はこれを「魔女」と翻訳したわけです。

 だから近年になって「男性のwitch」という記述を翻訳するときに「男性の魔女」というオカマかネカマか?というようなおかしな訳になってしまっている本なども見かけますが、本来「witch」とよばれた(キリスト教にとっての)異教の司祭には男女両方いたわけですからこういう問題が出るのは当然のことですよね。

◆物語の魔女と実在する魔女

 童話などに出てくる、箒で空を飛んだり、人間をカエルに変えてしまったりする魔女というのはまったくの空想の魔女です。これはキリスト教が魔女という名前をつけて、無実の人を拷問したり惨殺したりするに当たって「こんな悪い奴なら火あぶりにしてしまえ!」と思い込むように恐ろしげなイメージを作り上げて、広めた結果出来上がったものです。実際の魔女に当然、ホウキで空を飛んだり、杖の一振りで人間を動物に変えたりすることはできません。

 実際にいる魔女は先ほどもちょっとお話しました「古い宗教の司祭」です。キリスト教よりはるか昔から存在した古代宗教の司祭は当時の村の人たちにとっては、医者であり、薬剤師であり、相談役であり、不可能を可能にする方法を教えてくれる存在でした。こうした人たちは総称して「村の魔女」と呼ばれます。村の人たちは何か困ったことがあるとなんでも村の魔女に相談して助けてもらっていたのです。村の支配者すら重大な決定をするときには、村の魔女に相談したといわれています。

 こうした魔女たちはやがて魔女狩りの時代になると、自分が魔女であることを隠してこっそりと暮らしていかないと殺されてしまう危険が出てきました。そこで、魔女であることをうまく隠して、秘密の方法でその教えや知恵を代々守ってきました。こうした「村の魔女の伝統の継承者を伝統的クラフトの実践者」と言います。伝統的クラフトの実践者は今でも大して人数が増えることもなく、ひっそりと自分たちの伝統を守っている人が多いのです。

 さて、インターネットの検索で「魔女」、あるいは英語の検索サイトで「witch」という言葉を検索するとたくさんの実在の魔女のサイトが出てきます。なぜ、どうしてこんなに世界中に魔女が増えたのでしょう?

 実はこの中に「伝統的クラフトの実践者としての魔女」はほとんどいません。こうやって簡単にサイトが見つかる実在の魔女は「ウイッカ(Wicca)」と呼ばれる「新しい魔女」たちなのです。

 ウイッカは1950年にイギリスの「ウイッチクラフト禁止令」という魔女の宗教を禁止する法律が撤廃されたときに、ジェラルド・ガードナーという人が、自分が断片的に知ることができた伝統的クラフトの知識に、魔女とは関係のない魔術師であるアレイスター・クローリーの助力を得たりしながら体系を作り上げた「新しい魔女の宗教」です。ここでよく間違えている人がいるのですが「この新しい魔女の宗教の名前がウイッカ」で、その実践者を「ウイッカン(Wiccan)」と呼びます。例えば「彼女はウイッカだ」と言うのは間違いで「彼女はウイッカンだ」というのが正しいのです。

 伝統的クラフトの魔女たちは「ウイッチクラフト禁止令」が撤廃されても、長い間の魔女狩りの恐怖から、簡単には安心しませんでした。その上、実践者を増やそうという考えもなかったので、結局この法律がなくなっても魔女が増える、という現象には関係を持ちませんでした。

逆にウイッカは、人数を増やし続け、やがてアレックス・サンダースという人が分派し、ますます人数を増やしていくことになります。しかし、それでも、ウイッカの入信儀式であるイニシエーションを授けられる人に対して希望者が多すぎ、結局、本を参考に、言い方は悪いですが「勝手に魔女になってしまう人」も出てきました。これはソロ・ウイッカンと呼ばれ、日本ではイニシエーションを授けられる人が壊滅的に不足しているのでほとんどがソロ・ウイッカンと言っていいのが現状です。このソロという考え方に対する賛否はともかくとして、そうせざるを得ない人が特に日本ではほとんどである、というのが現実です。そうした意味でも、この講座が少しでも伝統に沿った魔女になりたいと思っている方のお役に立てれば、と思っているのが正直なところです。

 さて、それでは今回の講義はこの辺で終わりにします。次回は神と女神についての話しをしたいと思っています。問題を解いてぜひ次に進んでください。それではまた次回お会いしましょう。

 

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